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アジア太平洋(APAC)の給料の上昇が始まる;中国とベトナムが先陣を切る

プロのサービス会社のタワーズワトソンの調査によると、アジア太平洋の給料が2015年には平均して7% 上昇すると期待されている。これは2014年に比べてわずかに上昇していることになり、中国とベトナムがその先陣を切っている。しかしインフレが上昇しているため給料の上昇は7%よりも低くなると予想されている。

インフレを考慮した後の2015年の東アジアの給料の上昇は中国が5.2%、ベトナムが4.1%となっている。日本の場合は、給料の上昇率は0.6%となっている。

工場での仕事から上級管理の仕事まで、アジア太平洋全体を見ると、従業員の給料は去年と同じくらいか、それよりも高いくらいの割合で上昇すると予想されている。アジア太平洋全体において、例外は台湾で、インフラを考慮した後の給料の上昇率は2.8%から1.7%に下がると予想されている。

しかし、実質ベースでは、調査の対象となったアジア太平洋の20か国のうち12か国の平均給料は下がると予想されている。

2015年の企業の予算計画の時期に合わせて行われた調査では、工場での仕事から重役室までの仕事を様々なレベルの仕事を対象としている。

調査によって分かったことは、企業が求めているのはインフレを助長し、コスト管理することと有能な社員を十分に引きつけるために必要な給料の確保をバランスよく行うことである。

「この数年で、アジア太平洋に経済成長を見ることができるが、一方ではインフレの懸念を引き起す失業率の悪化のきざしが見られる。企業にとって大変なことは、売上が落ちないように、社員をこれまでと同じように働かせ、同時にインフレによる賃上げのスパイラルがないようにすることだ。」とタワーズワトソンのアジア太平洋のデータサービスの活動リーダーであるSambhavRakyan氏は述べる。

2014年のアジア太平洋の経済成長は4.7%から4.8%に上昇し、失業率は4.7%から4.5%に減少すると予想されている。そして、この地域のインフレは、今年は3.9% の上昇だったのに対し、2015年には4.3%上昇すると予想されている。

全体の上昇に関して言えば、インフレを考慮しなければ、2015年のインドとミャンマーの経済成長も著しい。

経済成長においては、ベトナムが最も高く、インドの10.8% とミャンマーの10%に続いて、11%の経済成長が見込まれている。しかしインフレを考慮するとこれらの国の経済成長率は、ベトナム、インド、ミャンマーの順に4.1%, 3.5% 、3.3%に下がる。

そして、中国における給料が8.3%上昇すると予想されている。しかし、この予想はインフレが3.1%という設定の場合で、インフレはもっと高くなる可能性がある。

香港とシンガポールの経済成長率はどちらも2015年には4.5% と予想されている。これは2014年の経済成長率と変わらない。しかし、インフレを考慮すると、シンガポールの給料がもっと上がると予想されている。データで見ると、給料の上昇率は、香港で0.9% 、シンガポールで2.2%となっている。

給料の上昇は特に製薬とファイナンシャルサービス、ハイテクの分野で著しい。 アジア太平洋全体では、製薬業の給料は6.7%の上昇が予想されている。そして、製薬業での給料の値上げが著しい国は、ベトナム(12%)、インド(11.5%)、中国(8.9%)となっている。

「製薬会社の給料の上昇の理由は、高齢化社会や特許切れ、需要の増大、遺伝学の発達により、企業が特に規制関連業務や臨床戦略、プロジェクトマネージメントや研究において、能力のある人達の採用に力を入れざる得ない状況にあるからだ。」とRakyan氏は述べている。

アジア太平洋の経済の分野で要となっている香港とシンガポールの2014年の経済成長率はそれぞれ、4.5%、4.2%である。そして、2015年の経済成長率は、それぞ5%、4.5%となっている。

経済の分野において、中国本土の経済成長率は去年の7.9% から8.5%に上がると予想されている。

「金融機関での報酬が、経済危機を引き起こさないかと政府にとって懸念材料となっている。そして、銀行で働く人たちの給料を取り締まることができないか議論がなされてきている。特に、リスクを伴う日々の業務に従事する人達の給料の取り締まりについて議論がなされている。なぜなら、彼らの業務が銀行に経済的に大きな影響を及ぼすからだ。」とRakyan氏は述べる。

アジア太平洋でのハイテクの分野の給料は、平均で2014年には6.3%の上昇率だが、2015年には6.6%に上昇すると予想されている。

「この上昇は、新時代のハイテク企業がこれまでしてきた優秀の人材を手に入れようと、高い給料と働きやすく、魅力的な働く環境を提供してきたことから抜け出していることを意味している。競争利益を市場で維持するための新しい技術革新が必要なことを考慮すると、適切な人材を確保することはさらに重要になっている。」

「注目すべきことは、中国においてだけこの分野での給料が下がるということだ。中国では、2015年には、今年の8.3%から8%に給料が下がると予想されているが、この事はこの分野での人材が溢れている、またはこれまでに急激にハイテク分野での人材の需要が高まったのが、この需要が緩やかになっていることを意味している。また、中国でハイテクの分野の給料が下がるのは、企業がこの分野での製造と研究開発を、給料が低い、中国の成都市や鄭州市などの後背地で行うようにしているからだ。」とRakyan氏は述べている。

調査によって分かった全体像について、「アジア太平洋地域での給料の上昇が定着するようになると、企業は限られた予算をいかに使うかを慎重に行うようになる。予算を最大限に使うことよりも、必要なスキルと滞在的な高い可能性、平均的な社員を識別することがさらに重要になっている。」とRakyan氏は考察している。

「我々は、予算が限られ、必要な人材不足が深刻になるにつれて、エンプロイー・バリュー・プロポジション(EVP)が重要になると考えている。このEVPは、社員一人一人が異なることを認識し、彼らに最適な働く環境を提供し、なぜその企業が有能な社員を引きつけ、確保するのかを明確にするものでなければならない。」

この記事は、最初に CFO Innovation Asia (http://www.cfoinnovation.com) に掲載された。

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