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ディアーズ・ブレイン、Infor BIで予算策定/予実管理の中核となる業績管理基盤を構築

株式会社ディアーズ・ブレイン(以下、ディアーズ・ブレイン)は、長くExcelを使って予算策定や予実管理を行ってきた。しかし、ビジネス規模の拡大に伴い、そのやり方には限界が見えてきた。蓄積するデータ量が増加するたびにExcelのパフォーマンスは低下した。必要な情報を社内で共有することも困難になり、各部門がデータ集計・分析の結果を業務に役立てられなくなってきた。そこで2013年9月、“脱Excel”を旗印に、機能、コスト、拡張性を評価してInfor BIを導入。Excelによる情報管理の依存度を劇的に下げ、業務効率の改善、迅速な情報共有、および戦略的なデータ活用を実現している。今後は、Infor BIの活用領域をさらに広げ、ABC(Activity Based Costing:活動基準原価計算)の手法をビジネスに取り入れることも目指している。

 

Excelによる予算策定/予実管理に限界が

 

ディアーズ・ブレインは、ハウスウェディング、ドレス、レストラン、コンサルティングの4つの事業を軸にビジネスを展開する企業だ。主軸となるハウスウェディング事業では直営の結婚式場を、北関東と九州を中心とした全国18カ所で運営する。コンセプトは地域特性や立地条件、文化に根ざす「地域密着型のハウスウェディング」。18のゲストハウスは、すべてが異なるデザインコンセプトを持つ。たとえば、2014年5月に関西エリア初出店となった「KOTOWA 京都 八坂」は、八坂の風情と祇園の品格を融合させたゲストハウスで、モダンスタイリッシュな空間を演出している。ブライダル事業で培ったナレッジ、ネットワークやオリジナリティのあるウェディングスタイルを提案できる強みを武器にビジネスを急成長させている。

 

同社の経営企画部は創業以来、Excelを利用して予算策定や予実管理を行ってきた。しかし、ビジネス規模の拡大とともに、Excelに埋め込む関数やマクロの数が増え、パフォーマンスが低下する問題が表面化してきた。Excelファイルを開こうとするだけで数分間を要してしまうなど、業務スピードを著しく損なっていたという。また、Excelシートをまたぐリンクも煩雑になり、セルに異常値やエラーが表示された際に原因を突き止めて修正する作業も困難を極めた。さらに、Excelにはマクロが組み込まれており、開発当事者が不在の場合、メンテナンスを行うこともできない。このように、Excelの管理が属人化していたことも業務効率を低下させる要因になっていた。

 

経営企画部 グループマネージャー 清水 美咲氏は、「毎年、新規出店計画を進めていますので、Excelによる情報管理は明らかに限界でした。Excelを使うと、必要な情報を迅速に社内で共有することが事実上不可能になり、社内のデータ活用は停滞してしまいます。各店舗で目標の達成度を即座につかみ、営業戦略や行動計画の立案に役立てることもできませんでした」と語る。

 

しかも、社内におけるExcelのデータ集計・分析スキルにはかなりの個人差がある。自在にデータを集計・分析できるユーザーもいれば、簡単な集計すらできないユーザーもいる。社内のデータ集計・分析スキルの底上げと平準化を実現し、ユーザーがさまざまな切り口によるデータ分析の結果を業務に生かせる体制を整備することが求められたのだ。

 

拡張性の高さとビジネスとの適合性を評価

 

ディアーズ・ブレインは2013年より実施したシステム改善プロジェクトにおいて予算管理システムの構築とExcelからの脱却に踏み切る方針を固めた。Excelによる情報管理の依存度を減らすことで業務効率の改善、迅速な情報共有、および戦略的なデータ活用を推進するのが目的だ。

 

2013年3月に開始したシステムの選定では、システムインテグレーターの紹介やインターネット検索で知った7つのソフトウェアを検討。予算統制の機能、コスト、拡張性を不可欠な要件としてコンペを実施し、デモンストレーションを含めて詳細な機能や実際の活用事例を解説してもらった上で慎重に比較・検討した。

 

経営企画部 経営企画グループ アシスタントマネージャー 加藤 丈明氏は、「2014年の予算策定のタイミングに間に合わせたかったため、短期間で開発できることも決め手になりましたInfor BIは、フロントを一般的な表計算ソフトウェアのような画面にできます。直感的な操作でレポートを作成できる上に、ITリテラシーのそれほど高くないユーザーも、扱い慣れたExcelライクな画面を操作して情報を登録、更新、参照できるのが魅力でした」と話す。

 

あらかじめ“最低限必要な機能”としていた部分をクリアできたソフトウェアはいくつかあった。Infor BIは、単にデータを情報として可視化するだけでなく、ソフトウェア上で入力してデータを修正し、修正後のデータを使って業務をシミュレートできるなど、現場が扱いやすい仕組みを備えている。これらの機能群の価値を総合的に判断し、予算策定と予実管理の枠にとどまらない拡張性の高さや、ビジネスとの適合性も高く評価した。

 

「コンサルタントの方に話を聞いていると、より広い場面で使えそうだと想像できました。検討に加わったプロジェクトメンバーの意思で、Infor BIの導入を決めました」(加藤氏)

 

帳票部分はすべて社内リソースで開発

 

同年7月に着手した開発では、これまでExcel上で管理してきたデータをクレンジングし、Infor BIに投入し、システムインテグレーターにデータモデルやキューブの設計・構築を委託した。この開発フェーズにおける特筆すべきポイントは、帳票テンプレートの作成や要件に合わせた細かな機能の開発を社内リソースで行ったことだ。

 

つまり、専門性の高いコア領域のみをシステムインテグレーターに依頼し、それ以外の部分はほぼすべて内製したことになる。これにより、開発費を抑制し、運用に入ってから万一問題が発生しても社内で即座に対応可能なノウハウを獲得できる。

 

経営企画部 経営企画グループ 山﨑 涼子氏は、「稼働までにそれほど時間的猶予もなかったため、まずは予算策定に必要な帳票テンプレートを優先的に作成しました。これまでシステム構築を経験したことはなく、特別なトレーニングを受講したわけでもありませんが、OJTで必要な知識や技術を身につけ、1カ月半で約50の帳票を作成することができました」と話す。

 

山﨑氏は、専門家に話を聞きながら各種の帳票を開発していった。キューブと連携する部分も多いため、仕事をしながら知識は増える。その後の拡張に伴う仕様変更の際には、システムインテグレーターと共通言語でコミュニケーションしながら作業を進められるまでになった。帳票開発のスキルは各スタッフに伝えられ、いまでは簡単な帳票を経営企画部のメンバーだれもが作成できるという。

 

Infor BIが経営を最適化する業績管理基盤に

 

ディアーズ・ブレインは、約2カ月の開発期間を経て、当初の予定どおりにInfor BIを稼働させた。稼働後、段階的な改修を行い、2013年12月に予算計画と実績を可視化する予実管理用の機能を稼働させ、2014年4月にはシステム上で修正予算を入力できる機能を追加。短期間で、当初予算と修正予算の内訳の表示や、予算と実績から目標達成率を確認できる機能も備える約120の帳票テンプレートを運用するなど、本部のマネジメント層や店舗責任者がさまざまな切り口でデータ集計・分析できる環境へと育て上げた。

 

ビジネスの要求に合わせて機能を実装していく中で、ユーザーは積極的に利用しながら使い方を覚えた。だれもが扱いやすいユーザーインタフェースを開発したため、ユーザーの戸惑いはなく、定着までにそれほど時間もかからなかったという。

 

定着化が達成されると、予算策定業務と予実管理業務において、今回のシステム導入で旗印に掲げた“脱Excel”はほぼ実現できた。経営管理部では、これまでExcel上で数字の根拠を探すのに費やしていた時間を、実用性の高い帳票テンプレートの作成など、店舗の支援や、本社の管理業務をより良くするための仕事に割けるようになった。

 

会議用資料や社内報告書を、毎回手間をかけて作成する必要もなくなった。取締役会や経営会議などに必要な資料はInfor BIでレポートを出力するだけでそろうためだ。いまでは、だれもが必要な情報をクリックひとつで確認できる。その上で会議に臨めるため、以前より深い切り口で議論をスタートできるようになった。

 

数字の根拠をコメントとして入力できる仕組み

 

現場では、店舗責任者が経営状況をすばやくつかみ、適切な営業戦略や行動計画を立案・実行している。加藤氏は、「Infor BIには、店舗責任者の気づきを促す機能を実装しました。実績予測値にもとづき、現状のペースで目標を達成できる見込みの場合は“青”、達成の見込みが低い場合は”赤”という具合に、視覚的に現状を把握できるようにしています。このアラート機能により、現場は常に業績状況を把握できますから、たとえば“確度の高い案件に注力すべきか、確度の低い案件も取りに行く活動をすべきか”を素早く判断し、予算と実績の差異を最小限にとどめる施策を最適なタイミングで実行できるようになりました」と話す。

 

これまでディアーズ・ブレインでは、店舗責任者が予実の数字に乖離がある理由をExcelに記入することで、本部のマネジメント層にそのまま報告するプロセスで業務を回していた。今回の仕組みでは、部門ごと、勘定科目ごとに予算と実績の乖離を算出し、予算に対して決められた割合以上の誤差があればアラートを発してくれる。選定対象としたシステムの中で唯一、文章も入力できるInfor BIを採用したことで、乖離が生じた理由を本部へ報告する際に、これまでどおりにシステム内にコメントを入れるだけ業務が回る。最もシステム化しにくい部分をそのままの業務スタイルで残せたことも、スムーズな定着に役立ったと言えるだろう。

 

山﨑氏は、「予実管理を行うマネジメント層は、店舗責任者が入力したコメントに妥当性がないと判断した場合、すぐにフォローアップの指示を出すことができます。たとえば、売上に対して販売管理費の割合が高く、営業利益を圧迫しているなど、各店舗の実態も手に取るようにわかるため、指示のスピードや精度は高まっています」と語る。

 

さらに活用範囲を拡大

 

清水氏は、「当初は予算策定と予実管理を目的に導入したInfor BIですが、その拡張性の高さを肌で感じたことで、次々と実現したいことが増えてきました。今後は既に取り込まれている予算や実績に関わるデータだけでなく、マーケットデータや従業員の勤怠データを取り込むことを視野に入れています。そうすることで、費用対効果や生産性を反映でき、会社のKPIをタイムリーに管理する情報基盤としてInfor BIを活用していきたいと考えています。」と話している。

 

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