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政府の6つのイノベーション最新動向

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OECD

政府が取り組んでいる最新のイノベーションは何だろうか?組織運営を変革し、市民生活を改善するための政府の新しい方法を国際的OECDの公共部門イノベーション観測(OPSI)が見直した。この報告で政府のイノベーションを形づくる6つの動向が明らかされた。

傾向1:人とマシンデータを組み合わせる

政府のサービスを改善するために、政府は市民の洞察力と機械によって作成されたデータ、分析を組み合わせる新しい方法を見つけ出している。

ソーシャル・メディアと携帯電話、モノのインターネット、監視カメラ、ドローン、衛星がこれまで想像つかないほどの量のデータを物理的、そして社会的環境に生み出している。社会に影響を与えるトレンドを理解し、予測する新しい方法を開発するために、革新的な政府はこれらのセンサーのビックデータを使っている。戦略的な政策決定をするために新たに洞察を深め、そして早期警報システムをサポートするために、これらの機械によって生み出されたデータが市民によるデータと政府のデータと一緒に合わせられているのだ。

例えばジャカルタでは、リアルタイムの洪水の地図を作成するために、PetaBencana.idはセンサーのデータとソーシャル・メディアに掲載された市民からの報告を一緒に合わせている。またアラブ首長国連邦の異常気象のアプリは、中東での砂あらしを見つけ、そして砂あらしを予測するために衛星のデータとアルゴリズムを使っている。オランダでは、緊急事態の際、より良く対応できるよう警察と消防署がTwitterのデータを集め、分析するためにTwitcidentを使っている。

イノベーションを促進するために、政府は公共消費のためのデータをOpen Government Data(OGD)のフォーマットでますます開くようになっている。これによりデータは自由に行き来できるようになり、アイディアを分かちあい、アイディアに基いて仕事を進めることができ、政府や産業界、一般市民にも同じようにイノベーションの可能性を広げることができる。

傾向2:政府を拡大する

小規模の試験的なイノベーションからより規模が大きい、政府の新しい取り組みまで、イノベーションを幅広く拡大する新しい方法を政府は見つけ出している。

イノベーションラボ:ここ数年、イノベーションラボの数が劇的に増えている。イノベーションラボでは研究が行われ、公共サービスのデザインでどのデザインがより良く機能するかを理解し、もしかしたら期待している結果を出すことができないかもしれない、より大規模なプログラムや政策の代用になるものを提供するために、試験的に試みが行われ、失敗を通して実験を行なう場所が提供されている。

変革を進めるチーム:この方法では、民間から有能な人材をもたらすことを重視しているが、サービスの提供を完全に革新するという任務のもとサービスを提供する新しい区域を設けている。これらの変革を進めるチームはサイロを打ち破り、アジャイルとイテラティブのプラクティスを使うことを推奨している。英国政府のデジタルサービス(GDS)は2011年に始まったが、これの先駆けだった。

インキュベータ:ソーシャルグッドのために産業界で革新を引き起こすために、革新的な政府は公共部門を超えている。例えばオーストラリアでは、オーストラリア政府による、誰でも入手可能なデータを活用し、スタートアップの考えを見つけ、深めるられるようにするために官民パートナーシップとなるDataStartを開始した。

傾向3:専門家としての市民

公共政策やサービスを考案する際、革新的な政府は市民が重要な要素だと気づいており、ポリシーサイクルのどの段階でも市民に関わってもらうようにしている。ポリシーサイクルとはアイディアを形にし、公共サービスを考案し、提供し、管理するまでの流れのことである。多くの場合、市民からの専門的なアドバイスによって、実際のニーズに合わせてサービスの考案と提供をさらに効率良く、そして効果的に改善できる。

目標は提供されたサービスの質をただ改善するのではなく、政府の文化を変革することでもある。これにより政策を形にし、新しいアイディアや方法をもたらすパートナーとして市民を見なすことができる。究極には、これにより市民の政府への信頼を深めることができるのだ。政府への信頼が多くの国で薄くなっているのが現状だ。

 ブラジルのOpen Government initiativeの代理店では、役に立つスキルを持った市民が、政府で働く人たちのためのクラスを開発し、そのクラスを教えるのに関わっている。またPlace to Experiment platformでは、政府のプログラムを強化するための新しい方法を見つけ出すために市民のイノベーションと政府、クラウドファンディングのリソースを結びつけている。

傾向4:個人化されたサービス

従来の政府のサービスははっきりと区分化されていることが多く、人々のニーズよりも行政構造に基いて別々の方法でサービスが提供されている。革新的な政府はもはや市民に、サービスを得るために、幅広く、複雑な行政内の仕事を理解することを求めない。革新的な政府は、それぞれの市民のニーズにより対応できる全体的なソリューションを提供しようとしている。つまり革新的な政府はユーザーを中心としたサービスを考案しているのだ。

公共サービスを提供する際に、ユーザーを中心とする考案の原理が用いられている。例えばアメリカのDigital Services Playbookと英国のGDS Design Principlesは、人々のニーズを理解するためにユーザーを中心とする全体的な方法を推進している。この原理では、政府のサービスとユーザのやりとりのすべての部分を理解することを重視し、始めから最後までユーザーの経験全体を考慮している。

政府が入手可能なデータの量が増えたことで、成果を最大限に引き出すためのサービスを提供することができるハイパー・パーソナライゼーションの新しい機会が開かれている。アメリカの個別化医療の取り組み(Precision Medicine Initiative)は癌や糖尿病などの病気のためにより効果的な標的治療を可能にするため、人の遺伝子や微生物、環境、生活スタイルにおける個々の違いを考慮している。

市民のニーズに対応するために、市民がニーズがあることに気づく前に先を見越したサービスを提供することさえできる。例えばエストニアでは、病院で子供が生まれた時、子供の誕生に関係したサービスが自動的に開始される。

傾向5:試験的な試みに挑む政府

急速な変化についていくために政府は新しい可能性を試み、どの方法がうまくいき、うまくいかないのか判断するための証拠を集める必要があると気づいている。管理できる範囲で新しいアイディアを実際に普及し、推進していく前に、このアイディアを試し、立証することによって、政府はコストを削減し、また新しいソリューションを探求することができる。

政府による実験では、アイディアを立証するために様々なシステムや手段を使うことができる。個々のサンプルは少なくなっているが、公共政策の効果を評価をするために公共部門では、これまで以上にランダム化比較試験(RCT)やその他の評価方法を行っている。これにより、実際に、大人数のグループに適用し、成功しやすいアイディアを特定しやすくできる。

フィンランドは革新的な介入の影響を実験し、調査するために新しい取り組みを始めた。初めて行われた主な実験では、これまでの失業手当に代わって、無造作に選ばれた、仕事をしていない何千人もの市民の最低所得が保障される。これは就業率を上げ、最低所得を提供することで貧困を減らし、社会的排除を少なくし、官僚社会をなくしていくためのものである。この実験結果と他の実験によってフィンランドのサービスを再構築される可能性があり、世界でもこの方法が再現されるかもしれない。

小規模ではあるが、これらの実験が経済モデルや公共サービスの効果を劇的に変える可能性がある。実験を試みる政府は、証拠とともに将来の政府を形づくろうとしているのだ。

傾向6:内部システムと過程を変革する

実際に影響を与えているイノベーションには政府の構造や人々、財政への変化も含まれる。政府は徹底的にサービスを変革するために「内部を具体的に」見ている。革新的な完成品は、政府の内部構造をイノベーションが可能な形に調整することで可能なのだ。

政府組織は公共人的資源管理のすべての面(雇用者のブランド政策から募集、選考過程、キャリア開発、給与体系まで)を見ることで革新者を引きつけ、彼らを維持できるよう取り組んでいる。チリ政府は、革新能力の視点から公共人的資源管理の研究を初めて掘り下げるために、OECDとこのエリアで最近、協力し、リーダーシップを発揮している。

イノベーションは組織的に他の公共分野に広がり、イノベーションが開発された組織の中で別々にとどまることはあまりない。役所が部門ではっきり別れていることを打ち破るために、デンマークのSpreading Innovationの取り組みでは、公務員が学び、彼ら同士でやりとりをすることによって1つの組織から他の組織にイノベーションを広げるのを助けるための説明や方法、奨励金を提供している。

多くの人たちは、政府調達の過程がイノベーションにとって最も大きな障壁の1つだと考えている。イノベーションを円滑に進めるために、オンラインの調達プラットフォームを使っている政府もある。より規模の大きい調達のプロジェクトに用いられる複雑で、難しい規則を回避させてくれるソフトウェアのコードを購入するために、アメリカのMicro-purchase Platformはオンラインの封印入札・リバースオークションを使っている。

オーストラリアは今、Digital Marketplaceをベータテストにかけている。Digital Marketplaceは、政府のバイヤーと供給者を結び、双方向の協力をサポートし、供給者がクリエイティブなソリューションを投げかけている問題に対応するプラットフォームを最終的には提供するエコシステムである。

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